栞いろは歌  禅のことをもっと…

莫妄想(まくもうぞう)

臨黄ネット栞「ま」 莫妄想(まくもうぞう)

私たちは、常に、生死、善悪、是非、勝敗など、二つの相対する概念を作り出し、その一方に執して苦しみ、迷うのですが、この二つに分けて見る相対的な分別心そのものが、すでに妄想というのです。故に莫妄想とは、生死、善悪、是非になり切ってやって行け! というわけです。“莫かれ”という消極的な言葉に反して、より積極的に、生死、是非、善悪、勝敗などにこだわることなく、全身全霊を挙して一心不乱にやり貫けというのです。「よく学び、よく遊ぶ」といいますが、勉強のときは勉強一途に、遊ぶときはただ遊ぶだけ、そのものになり切っていくことです。

《原典・無門関/引用・細川景一著『白馬蘆花に入る』(禅文化研究所)より》

写真 杉苔の上に落ちた沙羅の花