栞いろは歌  禅のことをもっと…

慧玄会裏無生死(えげんがえりにしょうじなし)

臨黄ネット栞「え」 慧玄会裏無生死(えげんがえりにしょうじなし)

「生を明らめ、死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」といわれるように、生死の問題は私たちにとって一大関心事です。いわんや禅を志す者にとって、生死の解決が一番肝要な事柄のはずです。にもかかわらず、関山慧玄国師はどうして、「慧玄が会裏(わが家の内)に生死無し!」と断言したのでしょうか。関山国師は生死の事実を踏まえて、生死に振りまわされない自由の中で、生死を自分のものとしておられたのです。生とは何ぞや? 死とは何ぞや? といった観念の遊びの相手をするほど、隙がなかったのです。厳しい生死の実践が国師の日常生活だったのです。

《原典・正法山六祖伝/引用・細川景一著『白馬蘆花に入る』(禅文化研究所)より》

写真 鎌倉/円覚寺 雲水の薪割り作務