栞いろは歌  禅のことをもっと…

明月蘆花君自看(めいげつろかきみみずからみよ)

臨黄ネット栞「め」 明月蘆花君自看(めいげつろかきみみずからみよ)

明月、蘆花を照らし、蘆花、明月を照らす。月が蘆の花を照らしておる。月の光と蘆の花と一つに溶け合って、静かに輝いておる。月が蘆を照らしておるのか、蘆が月を照らしておるのか。明月蘆花、君自ら看よ。灯籠が三門を照らしておるのか、三門が灯籠を照らしておるのか。主観が客観を見ておるのか、客観が主観を見ておるのか。明月蘆花、君自ら看よ。我と大自然と溶け合って、我が天地か天地が我か。我が花か花が我か。我が月か月が我か。一部の隔たりもない不二の妙道。甚深微妙の境界が分かるか、どうじゃ。

《原典・臨済録/引用・山田無文著『臨済録』(禅文化研究所)より》

写真 芒を供え明月をめでる