栞いろは歌  禅のことをもっと…

閉門造車 出門合轍(もんをとじてくるまをつくり もんをいでてわだちにがっす)

臨黄ネット栞「も」 閉門造車 出門合轍(もんをとじてくるまをつくり もんをいでてわだちにがっす)

「門を閉めて世間に出ることなく、家に閉じこもって自分の考えで大八車を造った。できあがってからその大八車を門前の道に引っ張り出してみると、前に通って行った車の轍にきちんと合っていた」という意味。専一に自己を追求し、坐禅修行に勤しんでいたときは、世間とは一切無縁であった。いま修行が完成して祖師の語録を読むと、自分の到達した悟境は、祖師たちの示している悟境と、ぴったりであったという歓びの語。……孔子は「七十にして己れの欲するところに従って、矩を踰えず」と諭されている。自分が思うように毎日を自由奔放に生きて、しかもそれが世間の常識を外れないようでなければならないという、門人への教訓であろう。

《原典・碧巌録/引用・西村惠信著『禅語に学ぶ 生き方。死に方。』(禅文化研究所)より》

写真 静岡県・龍澤僧堂玄関より